千歳市キウス5遺跡
縄文の木製品

  千歳市キウス5遺跡

   キウス型横槌破片など木製品出土

   国道337号線の新ルート建設工事に伴う、丘陵端部に近い低地部とキウス川沿いの低位部での調査。

  低位部でのX〜Z層は河川堆積物を主とした砂礫・シルト・粘土の互層で、間層に数枚の黒色土層が入る。さらにこれを大きな流路や小規模の流水痕が幾重にも浸食し、そこに砂礫とシルト質粘土が堆積している。低地部ではX層、低位部ではV層と旧河川部の砂礫層が、主な遺物包含層である。

遺構と遺物

   上記ページの「千歳市・キウス5遺跡縄文時代前期から晩期の住居跡」と調査区が重複している。

   


北側の平坦部で、縄文時代中期後半の竪穴住居跡
12軒を確認した。 その内11軒は平面形が円〜楕円形で大小があり、小さいものは経約2,1mである。一部に竪穴どうしの斬り合いも見られる。他に、土坑2基、焼土12ヶ所を確認した。

遺物の総点数は約7,000点で、遺構の集中する平坦部に多く、斜面に向かって減する傾向がある。  土器は竪穴出土を主として大半が縄文中期後半に属する。 石器は遺

構で石斧・台石が多く、包含層でも石斧が多い。他に石鏃・スクレイパー( 剥片もしくは石刃(せきじん)の端部または側縁に急傾斜の刃部を作り出した石器。削ったり切ったりするのに用いる  )・砥石などの出土が顕著である。

  低位部:遺構は調査区西側のV層表面で確認した畑跡3面と溝状遺構2本がある。

畑跡はTa−a層と河川堆積物である粘質土を除去する際に確認できた10列ほどの畝と畝間からなり、畝と畝の幅は0,8〜1mと広い。近世に耕作された畑と考えられる。


  溝状遺構は土器から擦文文化期に掘られたものと推測される。 また、台地縁辺部の上位・下位のV層では、縄文時代晩期の小型の土坑10基、X層では集石1基なども検出した。

遺物はV・X層から出土した土器・石器と、旧河川中に溜まっていた土器・石器・木製品があり、総点数は約13,000点である。   土器は台地からの連続で縄文時代中期が多いが、台地縁辺部で後期・晩期が目立ち、旧河川部では早期・後期・晩期が多い。少量だが縄文前期・続縄文・擦文も出土している。

石器も台地同様、石斧と台石が多いが、石鏃・石錘・ナイフ・スクレイパー・敲石砥石など各種万遍なく出土する。

旧河川部では縄文時代早期の土器に伴って、つまみ付きナイフの出土が多い。木製品は約200点で、縄文時代の所謂キウス型横槌の破片があるが、大半は杭や建材を含む加工痕のある丸木材・枝材・割材である。