キウス5遺跡
B地区(縄文時代早期〜前期)・C地区(旧石器時代)

  キウス5遺跡

  B地区(縄文時代早期〜前期)・C地区旧石器時代)

  B地区

  台地縁の斜面からキウス川に続く低地部分。東側の南西向き斜面と西側の南向き斜面に囲まれ、中央部は標高2325mの平坦な低地で、北から南に若干傾斜している。

  斜面から低地に地形の変わる部分で豊富な湧き水が見られる。又、低地部分の西側には台地から流れ込む枝沢・旧河道と湧き水が流れ込んだ痕が見られる。

  平成7年度の調査で検出された「旧河道」に流れ込んだ枝沢或いは、キウス川の蛇行の痕跡の可能性が考えられる。

  樽前c降下軽石の降下時期にはほぼ埋没していたようである。

   遺構と遺物

  縄文時代前期の竪穴住居跡1軒と、縄文時代早期〜前期のものと思われる土坑2基が、いずれも台地部分から検出された。

  竪穴は、縄文時代前期前半の綱文式土器を伴うものである。

  遺物は約7万点出土したが、このうち6割が土器である。

  石器は石鏃、石錘、つまみ付きナイフ、石斧、磨石などが多く出土する。その他、石製品では玉の未製品や焼けて破損したもの、けつ状耳飾り、軽石に刻みの見られるものなどが出土している。

  C地区

  標高2330mの緩やかに西に傾斜する台地上の部分と、B地区側に落ち込む高低差7mほど南向きの急斜面。

  台地上の北側半分は、X〜Z層(風化ローム=砂・シルト・粘土がほぼ等量に含まれる風化堆積物。壌土。 風成火山灰土の一。関東ロームが代表的で、10メートルに達する層をなす。酸化鉄に富み、赤褐色。赤土(あかつち))にまで及ぶ心土破砕や耕作により、畝状に攪乱されていた。又、南側工事用道路の下はY・Z層まで削平されていた。

遺構は台地上から検出され、V層(第T黒色土層)では集石1ヶ所、焼土ヶ所、フレイク集中1ヶ所、X〜Z層では竪穴住居跡3軒(縄文時代前期後半1軒、中期前半2軒)、土坑7基(縄文時代中期前半6基、不明1基)焼土32ヶ所、旧石器時代のブロック一カ所。

  遺物は約20,000点出土。旧石器時代〜擦文時代のものがある。

  土器はV層(第T黒色土層)からは縄文時代晩期のタンネトウL式、北大式土器、擦文土器が、X〜Z層から縄文時代早期から晩期のものが出土している。

  石器には、石鏃、スクレイパー、石錘、石斧などが出土。土・石製品にはサツマアゲ状土製品、再生土製円盤、縄文時代後期末葉〜晩期初頭の頁岩製の「石製釣針」などがある。

  調査区西側のZ層下位で、旧石器時代のブロック1ヶ所を検出した。X層下位〜Z層下位からは掻器、削器、彫器、石斧片、石刃、細石刃等が出土している。