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アイヌ文化期の木製品

  アイヌ文化期の木製品

  木製用具にはアイヌ自身が製作した魚突鉤、回転式離頭銛、木弊、棒酒箸、

花矢等のような伝統的な「自製品」と漆塗椀、曲げ物、折敷、行器、桶、樽などのような本州地域との交易により入手した「和産物」がある。

  木製品の複合用具となる金属製品やガラス玉などには、北方地域から移入したものも見られる。

  木製品のうち桶・樽の板は割裂性が良く、加工が簡単なため両口箸、棒酒篦等に再加工されているものが多い。ただし、漆器類等のように本州諸地域で作製されたものであっても底面や側面に小刀で祖印やアイヌ文様などの印(シロシ)を刻んだ物はアイヌ所有の用具を示している。

  木製遺物には建築・木工具、舟及びその用具、漁労具、狩猟具、農耕具、容器、食用具、燈火、暖房具、喫煙具、加工具、切載具、採集・運搬具、歩行具、装身具、祭祀・儀礼具などの種類があり、アイヌ民具に見られる生活用具が壊れた状態や部品の一部分として出土している。

(北海道埋蔵文化財センター 田口 尚「新北海道の古代 擦文・アイヌ文化」)