海のモンゴロイドの拡散 ラピタ人は世界最古の遠洋航海

ラピタ人は世界最古の遠洋航海=海のモンゴロイドの拡散

  更新制更新世=地質時代、約164万年〜約1万年前までの一区分で、第四紀の前半にあたる。洪積世、最新世、氷河時代ともよばれる。ホモ・エレクトゥス(原人)が出現し、現代人の段階まで進化した時代であり、考古学上の編年では旧石器時代と縄文時代草創期に相当する。  の終わりころ、今から六万年ないし四万年程前の地球の寒冷期(海退期)に、人類史上初めてジャワ原人の末裔たちが、当時のスンダ大陸からサフル大陸に拡がっていった。

  ニア・オセアニアとオーストラリアは、今から五万年ないし三万年の頃、モンゴロイドが住むところなった。

(「海のモンゴロイド」ポルネシア人の祖先を求めて  片山 一通)

  

  今から四千年前頃、ニューギニアの北東の沿岸部やビスマーク諸島一帯の島々に、それこそ忽然(こつぜん)と姿を現したのがラピタ人である。

  まだ彼らの起源についてはよく分かっていないが、日本の縄文人などのように東シナ海や南シナ海の沿岸域で臨海生活に適応した先史モンゴロイドのグループにルーツを求めることができる。

  このラピタ人こそ、人類史上で最初にリモート・オセアニアの海洋世界に進出した人々であった。

  南太平洋の西隅にある諸島に登場するやいなや、想像もつかぬほど優れた航海能力を駆使して、瞬く間にリモート・オセアニア線を越境して、遙かトンガやサモアの西ポリネシアの島々に拡散していった。

  ともかく、ラピタ人は世界最古の遠洋航海民と呼ばれるに十分な資格を持つ人々であった。

  その後、最も東に進んだラピタ人から生まれたポルネシア人はタヒチ当りの東ポルネシアの大三角圏に散らばる島々を次々と植民していった。

  タヒチ当りの東ポルネシアの島々は西暦が始まる前後の頃、ハワイ諸島は、1,500年前のころ、イースター島は紀元千年紀の間に、そしてニュージランドは約千年前の頃、彼らによって植民された。

  恐らく今から千年前前後、「ポルネシア人の大航海時代」ともいえるような時代があり、ポルネシアの島々を自在に往来していたのであろう。

  イースター島などに到達したグループは、さらなる東進の旅を続け、南北アメリカ大陸の太平洋岸にまで遠征航海をした可能性が大である。

(「海のモンゴロイド」ポルネシア人の祖先を求めて  片山 一通)

  1600年頃 - 1300年頃

オセアニアにラピタ文化広がる

オセアニア最古のラピタ式土器が、メラネシアに属するニューギニア付近のビズマーク諸島からポリネシアのサモアにかけての広い地域で発見されている。 

年代はもっとも古いもので前1600年、新しいものは紀元前後だった。

ポリネシアへこの文化をもたらした人々(オーストロネシア人)は、メラネシアをへて前1300年ごろにはフィジーから西部ポリネシアのトンガ、サモアに定着したと考えられている。

彼らはカヌーをつかった航海術をもつ海洋民だったが、タロイモやヤムイモを栽培する農耕民でもあった。土器とともに発掘された黒曜石から、彼らが千数百kmもはなれた広大な交易圏をもっていたことがわかる。

ポリネシアでは紀元前後から数百年の間に土器をもちいなくなり、焼石をつかった蒸し焼き料理(石焼き料理)が現在まで調理の中心となっている。

  オセアニア Oceania 

南北太平洋の海域に点在する島々と、オーストラリア大陸をあわせた地域で、アジア大陸南東部の属島と南北アメリカの属島はのぞかれる。したがって、フィリピン全域とインドネシアの大部分の地域など、東南アジアの島嶼(とうしょ)はふくまれない。

ニューギニア島は、西半分のインドネシア領パプア(旧、イリアンジャヤ)をふくめ、オセアニアに属する。

Ocean(大洋)に地名をつくる接尾語「ia」をつけてつくられた語Oceaniaがしめすとおり、オセアニアは広大な海の地域で、大洋州ともいわれる。その範囲は、太平洋海域をふくめると地球総面積の3分の1に達するが、陸地面積では6.6%にすぎず、全地域の人口も3309万4249人(2006年推計)と、地球総人口の約0.5%にとどまる。

オセアニアは島大陸のオーストラリアをのぞいた地域が、住民の人類学的な分類や文化的特徴からメラネシア、ポリネシア、ミクロネシアの3つにわけられる。

メラネシアはニューギニア島から東、ほぼ日付変更線の西で赤道以南の地域。住民の肌の色が黒いことからメラネシア(ギリシャ語で「黒い島々」の意)と名づけられた。ニューギニア島のほか、その北東のビスマーク諸島などのパプアニューギニア領の島々、ソロモン諸島、バヌアツ、フィジーの各国とニューカレドニア島(フランス海外領)をふくむ。

ポリネシアとは「多くの島々」を意味し、北はハワイ、南西はニュージーランド、西はイースター島をそれぞれ三角形の頂点とした広大な海域の島々をさす。ニュージーランド、サモア、トンガ、ツバルの各国とニュージーランドと自由連合のクック諸島、ニウエ島、ハワイ(アメリカ合衆国ハワイ州)、フランス海外領のフランス領ポリネシアの諸島、ワリス・フテュナ諸島、アメリカ領サモア、ライン諸島(キリバス領、アメリカ領)、イースター島(チリ領)がふくまれる。

「小さな島々」を意味するミクロネシアは、メラネシアの北、ポリネシアの西に位置し、赤道をはさんで広がる海域の島々で、キリバス(ライン諸島をのぞく)、ナウルと、アメリカと自由連合のマーシャル諸島、ミクロネシア連邦、パラオ、アメリカの自治領北マリアナ諸島、アメリカ領グアムがふくまれる。