函館空港拡張整備工事用地内調査
石倉貝塚は、函館市の東部、函館空港滑走路の東側に位置し、津軽海峡に面した標高40〜50mの海岸段丘上に立地している。
西側は松倉川、東側は汐泊川とに囲まれたこの段丘を開析して津軽海峡に注ぐ小河川、ムジナ沢の周辺に広がる遺跡である。遺跡の西側に中野B遺跡がある。
西地区
遺構は縄文時代早期中葉から前期初頭頃の住居跡が11軒、縄文時代の土坑13基、焼土6ヶ所のほか、縄文時代中期末から後期初頭と思われる石囲い炉と周溝をもつ住居跡の廃棄後に4基の土坑を堀り込んだ遺構(X−1)が検出された。
遺物は縄文時代早期中葉から前期初頭のものが主で、ほかに晩期と続縄文時代の遺物が少量出土している。
東地区
検出した遺構は土坑8基、Tピット2基。土坑は続縄文時代の後北式期のものが調査区中央部のやや平坦な部分に集中しており、石皿や土器片を副葬した墓抗(P−2)と思われるものもある。
遺物は縄文時代早期末から前期初頭と続縄文時代後北式のものが殆どである。
中央部の土坑(P−4)の近くから、交互刺突文と羽状撚糸文を施した天王山式系と思われる完形の弥生土器が1個体見つかっている。
遺物点数は、西地区と東地区の合計で50,000点である。